子供の心を守るサポートとは?
スポンサーリンク
レジリエンスについてのまとめ最後の記事になります。
(参考)
今回は、第3回で紹介したレジリエンスを育む4つのステップのうちの4つ目、「サポートを活用する」ためのポイントについて紹介していきます。
目次
頼れる相手を見つける
まずは、学校や地域などの外部の場所で、自分にとって頼れる人の存在を見つけることが大切です。
人間は必ずしも全ての人と打ち解け合い、信頼し合えるとは限りません。
一人一人性格が違う以上、合う合わないといった相性の問題は確実に存在します。
それを踏まえたうえで、それぞれの場所で自分とできるだけ相性が良い人、良さそうな人を見つけるのです。
相性が良さそうな人がどうしても見つかりそうにない場合は、話を聞いてくれる人でもよいでしょう。
それすら見つからない場合は、その子の心の安全のためにも、思い切って所属するグループを変えてくることも必要かと思います。
頼れる人は、やはり普段から近くに存在する人が望ましいです。
学校であれば担任の先生や保健の先生など。人によっては校長先生という場合もあるかもしれません。
とにかく、お子さんの話をよく聞いてくれて向き合ってくれる人を見つけましょう。
地域では、近くのお店の店主や交番のおまわりさんなど、よく顔を合わせ、困ったときには助けてくれる人との関係づくりを行っていきます。
何か特別なことをする必要はなく、日常からあいさつを交わしてお互いに気持ち良いやり取りをし、「もしもこの子が困っている様子だったらお願いします。」と一言軽くお願いしておけば十分です。
店主をやるような人や、おまわりさんは責任感が強いので、困ったときには力を貸してくれることも多いのです。
その分、お店の常連としてよく買い物をするようにするなど、積極的に地域の資源を活用していきましょう。
また、病院などもあちこち探しまわるのも良いですが、それなりに子供との相性が良かったり腕の良い先生と出会えたりしたら、かかりつけ医としてその先生のところを基本とすることをおすすめします。
やはり、普段から同じ先生に診てもらった方が微妙な変化に気付いてもらいやすいですし、子供自身も安心することでしょう。
こうして、自分の居場所に頼れる相手を作ることで家庭外でも「安心」できる環境を構築していきます。
第三の居場所を作る
子供にとって第一の居場所は「家庭」です。
全ての生活の基本となる家庭は、子供の生活にとって最重要です。
そして、第二の居場所は「学校」です。
一般的に、子供にとって社会と言えばそれは「学校」のことです。
子供が起きている時間の半分近い時間を過ごす場所ですから、非常に大きなウェートを占めています。
基本となるのはこの第一・第二の場所ですが、それ以外に第三の居場所を作ってあげることは、子供にとってとても効果的です。
習い事でもいいですし、趣味のサークルでもいいと思います。
最近は、この流れを受けて放課後デイサービスというサービスも流行っています。
とにかく、家庭や学校以外の、気軽に、ありのままの自分を出せる場所を作ってあげることが大切なのです。
そのため、できるだけ知っている人や同じ学校の人が少ない場所をおすすめしています。
知っている人や同じ学校の人がいると、どうしても一緒に属しているコミュニティのキャラで過ごしてしまいがちです。
例えば、学校で真面目タイプの子はそこでも真面目タイプでやり通してしまうのです。
本当は、もっと面白いことをやって周りの人を笑わせたいと願っていても、それを実現するために挑戦することができないのです。
初めての場所や知っている人がいない場所でも、共通の興味・関心事や一緒に取り組むことがあれば、案外すんなりとなじむことができます。
もし、それでもうまくいかない場合は、学校のように行かなければいけない場所ではないので、気軽にどんどん他の場所を探してみてください。
スポンサーリンク
私が知っている子では、いろいろ探し回った結果、小学生は自分しかいない落語サークルがとても気に入って、そこで過ごすことで心が落ち着き、日々の学校生活も上手に過ごせるようになった子がいます。
どこが自分にとって居心地がいいと感じるかは、ホームページや口コミを見ていても分かりません。
最近は、体験を受け入れているところも多いですから、思い切っていろいろなところに体験に行ってみることをおすすめします。
感情はコントロールするのではなく「切り替える」
感情のコントロールという言葉をよく聞きますが、私はこの言葉に違和感を覚えます。
コントロールできないのが感情ではないでしょうか?
精神的に成熟した方であれば、イライラした時に工夫してそのイライラレベルを1段階即座に下げることができるかもしれません。
ですが、それは大人であっても難しいことです。
ましてや子供に要求することは至難の業でしょう。
このような場合、感情はコントロールではなく、「嫌な感情を忘れて良い感情に切り替える」というのが正しいのではないかと思っています。
ついさっきまで泣いていた子が今は大笑いしながらおもちゃで遊んでいる。
こんな場面を見たことがある人は多いことでしょう。
これは、泣いていた子が「感情をコントロールして楽しもう」と考えているのではなく、わくわくするおもちゃが目の前にあることで、嫌な感情を忘れ、「楽しそう」という感情に切り替わっている姿なのです。
自分の気持ちを無理やり調整したり制御したりしてコントロールしようとするとどこかで歪みが生まれます。
そうではなく、嫌な気持ちを切り替える方法をたくさん見つけて、引き出しとしてストックするのが正しいのです。
例えばおもちゃかもしれないし、ゲームかもしれない。
好きな本を読んだり音楽を聞くことかもしれない。
たくさん引き出しを用意して、その時にぴったりな切り替える方法を引っ張ってこられるように一緒に考えるのが、正しい感情の切り替え方なのです。
「クールダウン」を身に付ける
イライラが爆発してしまっているお子さんに対して、いつまでも必死になだめているお母さんを見かけることがあります。
しまいには、いつまでもイライラがおさまらないお子さんに対してお母さんも怒りを覚え、二人で怒鳴り合う始末。
はたから見ていて不憫ではありますが、労力の無駄だな、と感じてしまいます。
一度爆発してしまったら、その噴火が止まるまでは何をしてもあまり効果がない場合が多いです。
先ほどの項目で書いた、「切り替えの方法」をいくつか試しても気持ちが切り替わらないようであれば、「クールダウン」を行うことが賢明でしょう。
「クールダウン」とは、一度その場を離れたり、自分一人の空間に逃げ込んだりすることによって、気持ちを落ち着かせること。
噴火したマグマが流れ切るまでは何をしても仕方がないですから、割り切ってクールダウンの時間と場所を設けてあげましょう。
このとき注意することは「安全」だけです。
周囲にものが雑然と散らかっているところでは何かにぶつかったり壊したりして、怪我をする危険性があります。
安全が確保されている場所で大人はさり気なく安全を守ることだけに徹し、噴火が収まるまで好きにさせてあげることも大切なのです。
何度か経験を積むうちに、自分でその場所に移動したり、噴火しそうになったらそうなる前にクールダウンをしてマグマを下に沈めたりできるようになってきます。
それができたら、大人になって社会に出ても、十分にわたり歩い行ける「しなやかな心」を身に付けたといえるでしょう。
まとめ:焦らず一歩一歩育むことが大切
ここまで7回にわたって紹介してきたレジリエンス。
心を育てるのは筋トレや勉強と同じですぐに効果がでるものではありません。
さらに言えば、筋トレや勉強のように目に見える形で成果がでにくいので、じれったくなる時もあるでしょう。
それでも、焦らず、慌てず、一歩一歩じっくりと育てていくことが大切なのです。
できるところから一つずつ丁寧に取り組んでいくことで、お子さんの心は柔らかくしなやかな心へと育っていきます。
また、一緒に取り組むなかで、きっとあなたの心もしなやかになっていくことでしょう。
以前よりイライラすることが減ってくるはずです。
少しの変化に喜びを感じながら、時間をかけてゆっくりと取り組んでいってくださいね。
(あとがき)
初めて一つのテーマを複数記事で書いてみました。
思ったよりも量が多くなって、まとまらず反省です・・・。
次回、同じような機会があれば、もう少し短く、簡潔にまとまるように頑張ります!
スポンサーリンク