幼少期に一つの競技に専念させてはダメな3つの理由
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スポーツの世界で天才少女・少年の活躍が目立っていますね。
小さい頃からスパルタ英才教育を受け、一つのスポーツをやり続ける姿に感動を覚える方も多いのではないでしょうか。
しかし、子供の発達の面からみると、あまりにも小さい年齢から一つの競技に決めて専念させ続けるのは賛成できるものとはいいがたいところがあります。
今回は、一つの競技に専念させてはいけない3つの理由と、子供の運動能力を高める方法について紹介していきます。
目次
一つの競技に専念させてはダメな3つの理由
①運動の応用が利かなくなる
一つの競技で行われる体の動きは極めて限定的です。
常に似たような方向・似たような強度の力を発揮することになるので、その競技に関する動きは上達しますが、他の競技に必要な動きはてんでダメ、ということになりかねません。
陸上選手やサッカー選手で、ものすごく速く走ったり、ボールを強く蹴ったりすることができるけど、ボールを投げさせてみると初心者丸出しの投げ方をしている人を結構見かけることがあります。
これは、まさに一つの動きに取り組み続けたせいで、応用が利かなくなっているのです。
運動能力を丸で表現すると、目指すべきところはこの丸をどんどん大きくしていくこと(=運動能力を高めること)です。
しかし、一つの競技に専念することは、この丸を細長く上に向かって伸ばしていくことを意味しています。
(画像クリックで拡大)
これでは、全体として運動能力を高めることにはなっておらず、その競技にしか対応できなくなってしまうのです
。
ゲームで例えるならば、運動能力の向上がレベルアップ(パラメータの全体的な上昇)、一つの競技に専念することが今振り分けられているパラメータを再振り分け(パワーに特化など)することを意味しています。
(画像クリックで拡大)
これでは、他の競技や動きで応用が利かなくなることは明白ですね。
②怪我のリスク
①でも説明しましたが、一つの競技に専念するということは、似たような方向・似たような強度の動きを繰り返し行うことになります。
つまり、同じ部位が働き続けるということになり、それだけ同じ部位に負担がかかり続けるのです。
これでは、怪我のリスクが高まるのは当たり前ですよね。
最近では、メディアで注目されるようなスポーツ天才の子供たちを目指して小さい頃から一つのスポーツに専念させる家庭も増えていますが、やはりそうした家庭の子供たちは怪我に悩んでいます。
小さい頃から始めた野球による野球肘・野球肩。
テニスによるテニス肘。
サッカーで捻挫癖がついてしまった。
バスケ・バレーで、膝への障害を抱えてしまった。
例を挙げればキリがありません。
一つの運動を続けるということは予想以上に同じ部位に負担がかかるものです。
まだ体ができ上がっていない子供であれば、その負担は一層重いものになります。
まだまだ可能性にあふれる子供の体を、競技特有の怪我で潰してしまわないよう、親は慎重になる必要があるのです。
③将来の可能性を狭める
3つの目の理由は、どのスポーツに一番向いているのか、という適性が見極められないリスクです。
小さい頃からスポーツを始める子供は、大体、親兄弟がやっていたものを踏襲するパターンが多いようです。
しかし、それで本当にその子に適した競技を選択することができていると言えるのでしょうか。
「子供が楽しいと言っているから大丈夫。」と考える親も多いようですが、その競技しか見てなかったらその競技の楽しさしか知らないから楽しいというのも当然です。
子供が本当に楽しんでいるスポーツはどれなのか、動きの得手不得手から一番適しているスポーツはどれなのか。
いろいろなスポーツを経験してから決めても全く遅くはありません。
早とちりをして子供の可能性をつぶしてしまうことのないよう、様々な経験を積ませることが大切だといえるでしょう。
運動能力を高める方法
様々な動きの経験→外でたくさん遊ばせる
運動能力を高めるために、特別なことは必要ありません。
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外でたくさん遊ばせることが単純で、かつ、最も子供の運動能力の基礎を育てるものなのです。
鉄棒にぶら下がる、木登りに挑戦する、川に向かって石を投げる、鬼ごっこで走り回る、岩から岩へ飛び移る・・・。
子供たちは怪我を恐れることなく、果敢にいろいろな遊びを生み出し、全力で取り組んでいきます。
これが最も大切なことなのです。
しかし、今の子供たちは遊ぶとなれば涼しい部屋でゲーム機、という姿が増えてしまっています。
何も、道具を用意して野球やサッカーをやれというのではありません。
子供たちは元来、遊びの天才です。
その才能を存分に発揮できる公園や校庭で好きなだけ遊ばせればいいのです。
そうした遊びの中で、様々な動きを経験していきます。
そうすることによって、動きの巧みさや素早さを手に入れていくことができるのです。
運動の得意な子になってほしいと思っているのであれば、外で遊ぶ時間を確保してあげましょう。
それが最も簡単で確実な運動能力の向上方法です。
コーディネーショントレーニングに取り組む
続いて、近年注目されているトレーニングに、「コーディネーショントレーニング」というものがあります。
これは、競技の動きの習得を目指すのではなく、その土台となる、体の使い方や動かし方を身に付けさせることを目的としたトレーニングです。
このトレーニングを積むことにより、いわゆる「運動のコツ」を今までよりも早くつかむことができるようになるので、いろいろなスポーツチームで取り入れらています。
プロ野球やサッカーチームでもメニューに組み込まれていて、子供から大人まで、誰に対しても効果的です。
トレーニングといっても厳しいものではなく、普段なかなか行わないような動きを楽しく経験できるものなので、子供であっても楽しくできますし、親子で一緒にやるのも効果的です。
詳しいトレーニング方法や家でできる内容などは以下の本に紹介されていますので、一度手に取ってみるとよいかと思います。
ゴールデンエイジを逃さない
運動神経の発達には、年齢によって伸びやすい時期とそうでない時期があります。
9歳~11歳の小学校中学年~高学年にかけては、運動神経が発達しやすい時期で、この時期を「ゴールデンエイジ」といいます。
一生のうち、運動神経をよくすることができるのはこの時期だけと言われているほど大事な時期で、この期間はいろいろな動きをすぐに身に付けることができるなど、運動のセンス・技術の大きな成長が見込める時期です。
自分が思ったように体を動かせるようになる時期になるので、子供自身を体を動かす手応えや楽しさを感じやすい時期です。
この「ゴールデンエイジ」を逃さずに子供の運動能力を高めるためには、9歳以前までに、外で沢山遊ぶなどして、基本的な運動感覚、動作を身に付けておく必要があります。
そして、この「ゴールデンエイジ」の期間に入ったら、いろいろな競技に挑戦し、適正や好みを意識しながら一つのスポーツに専念するのか、複数のスポーツに取り組むのかを絞っていく時期になります。
つまり、専門的な競技に専念し始める時期になります。
この時期を逃さず運動に取り組むことで、将来世界の舞台でも活躍できるような子供に育てることができるのです。
まとめ:競技に専念するのは小学校高学年から
いかがでしたでしょうか。
発達の面から見て、一つの競技に専念するのは、「ゴールデンエイジ」を迎えた小学校高学年からで全く遅くありません。
むしろ、それ以前に一つの競技に縛りすぎてしまうと、その競技以外の動きは全然できないぶきっちょな大人になってしまう可能性があります。
子供の無限の可能性を潰すことなく運動の得意な子供を育てるために、いろいろな動きを経験させながらのびのびと育てていく環境を作ってあげましょう。
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