月平均○時間! 教師の長時間労働の実態と 教師不足 の問題を読み解く
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文部科学省の調査で、教師が2558人も不足していると判明しました。
この不足の実態とはどのようなものなのでしょうか?
また、どのようにすれば改善していけるものなのでしょうか?
目次
結論:働き方改革の推進!
正直、現場レベルでできることには限界があります。
そもそもの学校の仕組みや採用の方法を変えていかなければ大幅な改善は見込めないと思います。
始業日時点での不足とか、現場レベルではどうしようもない問題でもありますしね。
ただ、そんなそもそも論を書いても何も解決しませんので、ここでは現場レベルでできることを一つの結論とします。
それはズバリ!
休職者を出さない
ということです。
学校現場は常にギリギリの人数しか配置されません。
一人欠けるということは、学校にとって大ダメージです。
欠員が生じてしまうと、学校現場レベルでできることはほとんどありません。
必死になって代替教員の確保をすることくらいです。
そうなる前に、学校現場レベルで不足するという状況を生み出さないことが大切です。
そのためには、働き方改革を推進して、一人一人の先生が働きやすい環境やサポートし合える関係を作り、休職者を出さないことが大切なのです。
(関連記事)教師不足は○○○○人!?教師の勤務実態と働き方改革に切り込む!
教師不足の概要
今回の調査では、始業日時点と5月1日時点での不足人数について調査が行われました。
結果は以下の通りです。
校種 |
始業日 不足人数 |
始業日 不足率 |
5/1時点 不足人数 |
5/1時点 不足率 |
小学校 | 1,218人 | 0.32% | 979人 | 0.26% |
中学校 | 868人 | 0.40% | 722人 | 0.33% |
高等学校 | 217人 | 0.14% | 159人 | 0.10% |
特別支援学校 | 255人 | 0.32% | 205人 | 0.26% |
合計 | 2,558人 | 0.31% | 2,065人 | 0.25% |
始業日時点で2500人を超える不足数が出ているのは異常事態です。
このような不足状況になってしまった結果、少人数(習熟度)担当の先生や専科の先生、生活指導主幹が担任を代替している学校が多数あります。
中には、管理職が担任をしているという学校も少なくありません。
今回の調査では、5月1日時点でも、53校の小学校で管理職が担任をしているという結果が明らかになっています。
これでは、通常の学校業務が回るわけがありませんね。
出典:文部科学省
都道県市別
続いて、都道府県市別に見ていきましょう。
小学校で、深刻な不足に悩んでいるのは、島根県、熊本県、福島県です。
区分 | 不足人数 | 不足学校数 | 不足率 |
島根県 | 42人 | 13校 | 1.46% |
熊本県 | 36人 | 35校 | 0.88% |
福島県 | 52人 | 50校 | 0.85% |
島根県では、1%以上の不足が生じています。
他2件も、1%に近い数字の不足が発生している状況です。
読者の皆さんに関わりのある都道府県市の実態はいかがでしょう?
出典:文部科学省
中学校は以下の通りです。
出典:文部科学省
なぜ、このような不足が発生してしまうのでしょうか?
教師不足の原因
文科省の調査によると、教師不足が発生するのは、必要教師数が増えたことと、なり手(臨時的任用教員)の減少が主な要因であるとしています。
ギリギリの人数で回そうとしているから起きることかな、と思います。
税金で賄っているので難しいところはあるのでしょうが、現在の学校の状況を見ていると、必要数ギリギリの教員しか配置しないのは悪手だろうと感じています。
必要教師数の増加
出典:文部科学省
アンケート結果をもとにすると、必要教師数が増加している大きな要因は以下の3つです。
②特別支援学級数の増加
③病休者数の増加
①②は仕方ないとして、やはり③をどうにかしていきたいところですよね。
病休者数の増加について
教職員の病休者、特に精神疾患での休職は非常に問題になっています。
令和2年度の調査でも、精神疾患で休職している教職員は5,180人もいる状態です。
出典:文部科学省
精神疾患によって休職されている先生は、性別や年代に関係なく多い結果が出ています。
教師は「感情労働」とよばれ、非常にストレスがかかりやすい仕事であると言われていますが、現在の負担過剰な働き方がストレスに拍車をかけていると考えられますね。
まぁ、はっきり言ってみんなストレスフルな現状です。
ストレスフルな状態になると、他人をサポートする余裕が生まれません。
管理職やベテランの先生含め、みんないっぱいいっぱいなんです。
本来であれば、もっと全体でサポートしていくことが必要なのですが、それができないほど、現在の学校現場は疲弊し、ひっ迫していると言えるでしょう。
なり手(臨時的任用教員)の減少
教師不足になるもう1つの大きな理由として、臨時的任用教員の減少が挙げられます。
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なぜ、臨時的任用教員が不足するのでしょうか?
以下の3つが大きな理由であると言われています。
②希望者が正規で採用されたことによる名簿登載者の減少
③名簿登載者が他の学校や民間企業に就職済み
出典:文部科学省
そもそも、臨時的任用教員というのは、正規採用されなかった人、あるいは教員免許を持っているけれど正規採用を希望しない人が講師名簿に登録して採用を待つシステムになっています。
この名簿に登載される人は、採用試験に落ちてしまった正規採用志望者や子育て・定年で教職を退職した方の割合が多いです。
①の希望者の減少というのは昨今問題になっている教員志望者の減少とダイレクトに繋がっています。
教師という仕事が世間にブラックと言われるようになって久しいですが、ブラックと言われる仕事に飛び込んでいく若者は多くはありません。
現状の働き方を改革しないと、改善は見込めないでしょう。
②と③についてですが、教員採用試験に不合格になった人は、講師名簿に登載依頼を出します。(私も経験があります)
そしてただひたすら採用の電話がかかってくるのを待つのですが、この期間は精神衛生上非常にきついものがあります。
電話が来ないと次の年度からは無職・・・?なんてことが何度も頭をよぎります。
そのため、民間の企業の面接を受けて民間への就職を決める人も一定数います。
また、めでたく採用の電話がかかってきた場合は、講師名簿の登載取り消し依頼をすることになっています。
そうしなければ、いつまで経っても、採用待ちの人として名簿に登載され続けてしまいます。(まぁ、この辺は本来であれば名簿を管理する側で処理してほしいのですが)
そんな理由で、名簿に登載されている人数よりも実際に採用可能な人数というのは少なくなってしまっている現状があるのです。
学校現場で、「誰かいい人いない!?」と知りあいの先生に声をかけまくるというのは学校現場あるあるでしょう。
それくらい、人手が足りていないのです。
労働時間の実態
これだけ教師が不足している実態が分かりましたが、なぜそんなに不足しているのか?
大きな理由は2つあります。
②人間関係ストレスの大きさ
どちらも、精神に大ダメージを与えるものです。
教師の仕事に終わりはない、とよく言われますが、現在の教師がどれだけの長時間労働をしているのかを明らかにしていきます。
平日の学校内での勤務時間
出典:日教組「2021 年 学校現場の働き方改革に関する意識調査」結果
まず、平日の学校での勤務時間ですが、全校種を合わせると、1日平均
10時間39分
も働いていることになります。
教師の1日の正規の勤務時間は
7時間45分
ですから、毎日平均2時間54分の早出や残業をしていることになります。
これを月20日勤務したとすると、月平均残業時間が58時間となります。
平均ですからね?
「うちの会社の平均残業時間は月で58時間です!」と言われて働きたいと思いますか?
平日の自宅での仕事時間
続いて、平日の自宅での仕事時間、つまり退勤後に自宅で仕事をしている時間です。
出典:同上
先ほどの学校での勤務時間と合わせると、平均で1日11時間24分働いていることになります。
平日は1日の約半分を仕事に費やしているということになりますね。
現場の先生は実感があるのではないかと思いますが、これに通勤時間も加えると、1日の中で自由に使える時間はほとんどないと言っていいのではないでしょうか。
週休日(土日)の仕事時間
続いて、土日に学校で仕事をしている時間です。中学校・高校は部活動がありますが、それを差し引いても土日にも仕事をしなければならない現状が見えてきます。
出典:同上
また、学校には行っていなくても、自宅で仕事をしているという人は多いのではないでしょうか。
出典:同上
調査の結果でも、1時間程度は仕事をしているということが明らかになっています。
本来の勤務時間というのは、7時間45分×5日で38時間45分ですから、勤務時間を大幅にオーバーして働いている実態が明らかになっています。
平均で過労死ラインと言われる月80時間を超える時間外労働を超えてしまっている実態は看過できないでしょう。
まとめ
ここまでの内容をざっくりとまとめます。
・教員志望者の減少
・休職者の増加(特に精神疾患)
・人間関係ストレス
・長時間労働によるストレス
・休職者の増加や長時間労働の実態が明らかになったことによる、教職の魅力の低下
・負担過剰な学校業務
・休職者の増加
・教師不足
まとめると、全てが負の連鎖になっていることがよく分かりますね。
現場レベルの教員が改善を図っていくには、働き方改革を推進して、業務の削減と効率化を図り、長時間労働と休職者の増加に歯止めをかけていくことが大切でしょう。
教師という仕事は、とてもやりがいがあり楽しい仕事です。
本来の魅力が認知され、子どもたちの未来に繋がる仕事に全力で取り組めるようになることを願っています。
このブログでも、そのために情報を発信し続けていきます。
(関連記事)教師不足は○○○○人!?教師の勤務実態と働き方改革に切り込む!
今回の文科省の調査について詳しく確認したい方は以下をご覧ください。
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