教師不足は○○○○人!?教師の勤務実態と働き方改革に切り込む!
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令和4年1月31日、文科省で初めて教員不足に関する調査の結果が公表されました。
調査の結果、年度初めの始業日時点で不足していた教師の人数は、なんと
2558人
でした。
スタートの時点から2000人を超える教師の不足が発生しているのです。
また、2月12日には、TBSの報道特集で、教員のブラック勤務の実態について報道されました。
こちらでは、月に160時間近い残業をしている教員の実態が報じられていました。
昨今の教員の残業問題と教員不足は深く繋がっているといえるでしょう。
教師不足→残業しなければ仕事が終わらない→教師の魅力低下→教職志望者の減少・退職者の増加→教師不足
という完全な負のスパイラルに陥っています。
では、この負のスパイラルをどのようにして断ち切っていけばよいのでしょうか?
現場の実態と、改善案について考えていきます。
目次
(理想の)結論:残業代支給と業務削減・効率化の両輪(無理だけど)
理想は、残業代支給と業務削減の両輪で進めていくことが必要です。
①残業代の支給を決定
②残業の多い学校の管理職は評価ダウン
③個人情報を含む仕事の持ち帰り仕事の完全禁止
(持ち帰りで行っていいのは、教材研究と授業準備のみ)
④残業を減らすために、業務の削減と効率化を図る。
このくらいやらないと、大きな改善は見込めないでしょう。
まず、教師は残業代が出ません。(残業時間に関わらず教職調整額というものが支給されます)
残業代が出ないことによって、
◯現場の先生の時間意識の低下
◯管理職のマネジメント意識の低下
が生じます。
残業代を支給することで、強制的に時間意識の向上を図るわけです。(特に管理職)
残業代を支給するが、残業が多い学校の管理職の評価を下げる。極端な場合は降格する。
こうすれば、管理職は強制的にでも現場の先生のマネジメントをせざるを得ないでしょう。
しかし、それだけでは結局、「帰りなさい!」と命じて見かけの残業時間を減らし、持ち帰り仕事をさせるということが発生します。
そうならないためにも、「テストやノート等個人情報を含む持ち帰り仕事の完全禁止」を徹底します。
(まぁ、今もそうだと思いますけど、実際のところはどうなんでしょうか・・・)
なお、教材研究や授業準備については、自己研鑽の部分も多分に含んでいますので、一般的な業務とは切り離して考えます。
(勤務内容に含むのは当たり前ですが、どこまでやるかという線引きが難しい問題なので、一旦除外します)
そうして残業禁止の状態を作りますが、これだけでは学校は回りません。
なぜなら、業務が減っていないからです。パンクします。
そこで、大胆な業務削減と効率化を図っていくことが必要です。
これについては、文科省が出している働き方改革実践事例をもとに、後段で紹介していきます。
とにかく、このくらい大胆に意識も行動も変えていかなければ、改善は見込めないと言うところに、この問題の深さがあると感じています。
(現実的な)結論:うまく根回して業務の効率化と一部削減を行う。
まぁ理想の結論を出しましたが、実際には99%実現は不可能な訳です。
基本的に変わろうとしないのが学校現場です。
そもそも、給特法の教職調整額の4%は、1966年当時の平均残業時間8時間から設定された額です。
(給特法については、後日、詳細記事をアップします。)
それから見直されずにここまできている。
今現場にいる大半の先生が生まれる前に決められたことがそのまま見直されていないなんてどうかしていますよね。
ということで、大きく変えるのではなく、小さく変えていく方法を積み重ねていくのです。
基本は、以下のパターンです。
①減らすことで得られるメリットを伝える。
②減らすことで生じるリスクを潰していく。
③根回しして味方を増やす。
④管理職に提案する。あるいは提案してもらう。
⑤全体で承認を得る。
この時、②のリスクを潰す、というのは超大切です!!
学校はあるものをなくすのを非常に恐れます。
保護者や地域などからのクレームを恐れているからです。
なので、ただなくそうと言っても受け入れてもらえる可能性は低いです。
なくすことはデメリットではなくむしろこんなメリットがありますよ!と伝えていくことが大切です。
では、実際にどんなところを変えていけるのか。
個人・学年・学校レベルで取り組んでいけることを紹介していきます。
なお、全ての取り組み事例について確認したいという方は、以下のリンクより文科省の資料をご確認ください。
なぜ働き方改革を進める?
そもそも、なぜ働き方改革をすすめていくのでしょうか?
ズバリ!!
毎日の授業の質を高めるため
ではないでしょうか?
職場やTwitterなどで働き方改革について意見をすると、
「そんなに働きたくないの?」
「楽したいだけじゃない?」
といった声が聞こえてくることがあります。
こういった考えに触れるたびにとても悲しい気持ちになります。
そのような誤解を生まないためにも、なぜ働き方改革を進めるのかという意義を理解しておく必要があると感じています。
文科省の「全国の学校における働き方改革事例集」の冒頭には、こんなメッセージが添えられています。
各学校が働き方改革を進めるにあたっては、業務量を見直すことが大きなポイントになります。取 組例のなかには、「これをなくしてしまって大丈夫?」と賛否両論があるものも含まれるかもしれま せん。これまで学校で積み重ねてきた教育活動は、必ず何かしらの教育的意義があって実施してきた ことばかりであり、その活動自体が否定されるものではありません。しかし、人・モノ・カネ・時間 という限りあるリソースを有効活用するために、業務に優先順位をつけて精選を進めていく必要があ ります。取組例は、その学校、そこにいる子供たちにとっての優先順位付けをし熟慮を重ねた結果と なります。取組例がすべての学校にフィットするわけではありませんが、各学校や地域の実情を踏ま えながら、働き方改革推進のための参考にしていただければ幸いです。
このメッセージを読んで、私は100万回くらい頷きたくなりました。いや、文科省の方、とても素晴らしいことを書かれていますよね。
ざっくりまとめると、
①働き方改革は業務量の見直しが大事
②教育活動に意味のないものなんてないよ
③でも、資源は有限だよ
④だから優先順位を決めて精選しよう!
ということです。至極当たり前のことを言っていますね。
この考え方をもとにしながら、実践事例について述べていきますが、働き方改革を行うことで、3つの効果が得られると考えています。
①働き方改革で職場のレベルアップ!
働き方改革を進めることで、今までよりも時間的な余裕が生まれます。
すると、お互いの仕事について相談したり、仕事の中身について検討を加えたりすることができるようになります。
今の職場では、全員が忙しくて、特に若手の先生は相談したいけど誰にも相談ができない・・・なんてことが日常茶飯事です。
そして、相談できないことで改善することができず、病んでいってしまう先生も少なくありません。
また、バリバリの中堅~ベテランの先生方も忙殺されています。
できる人ほど仕事が回ってくるのが今の学校現場ですので、圧倒的な業務量からくるストレスで体調を崩したり不安定な精神状態に陥ってしまう先生も多いです。
若手・中堅・ベテラン関係なく、誰もが忙しいのが今の学校現場です。
時間的な余裕が生まれれば、若手の先生は先輩の先生たちに相談したり研修をお願いしたりすることができるようになります。
また、中堅の先生は持てる力を存分に発揮し、今まで行ってきた行事や学校運営を改善することができるでしょう。
ベテランの先生は、その熟練の技術を若手に伝えたり、学校全体を引っ張っていったりすることができるでしょう。
時間的な余裕が生まれることで職場全体のレベルアップに繋がるのです。
②働き方改革で自己のレベルアップ!
教師は生き方そのものが教材になり、子どもとの関わりに反映される、とてもやりがいのある仕事です。
働き方改革で生まれた時間を使って、自分の人生を豊かにすることで、仕事でも豊かな経験を還元できるようになります。
働き方改革で時間が生まれると、自分のために時間を使うことができるようになります。
定時が大体17時ですから、17時に退勤することができれば、ゆとりのあるアフター5を楽しむことができます。
その時間で趣味を楽しむのもよし、休息時間を確保して仕事に全力で取り組めるように整えるのもよし、自己研鑽のために勉強に励むのもよし。
定時で退勤することができれば、自分の人生を豊かにする経験を積むことができるようになります。
趣味や自己研鑽で学んだことを生かして、仕事にプラスになることも多いでしょう。
私も趣味でスポーツをよくやりますが、その時の経験や他業種の方との関わりは、仕事に取り組む中でとてもプラスになっています。
③働き方改革で教師の魅力アップ!
元々、教師という仕事は非常に魅力的な仕事であると感じています。
よく、働き方改革の話をすると、
「そんなに嫌なら辞めればいいじゃん。」
と言われます。
ちがうんですよね。嫌ではないんです。この仕事は大好きなんです。
だからこそ、働き方改革をすすめて、教師の仕事の魅力をより大きくしていきたいのです。
今の学校現場は、多忙すぎて本来の教師の魅力が薄れていると感じています。
子どもと向き合い、先生同士で協力し、よりよい学校運営を通して一人一人の子どもの良さや可能性を引き出していく。
未来に繋がるこの仕事のやりがいは非常に大きいと感じています。
昨今、教師と聞くと真っ先に「ブラック」というイメージが出てきてしまいますが、本来は非常に魅力的な仕事なんです。
働き方改革を通して、ブラックと言われる部分を改善していくことで、教師の仕事の本当の魅力が伝わるようになれば、問題になっている教職志望者の減少は改善していくでしょう。
教師不足を解消する方法は採用試験の簡易化や条件の緩和ではないのです!!
働き方改革による教師の魅力向上なのです!!
働き方改革の事例紹介
現場で感じている思いを長々と書き連ねてしまいましたが、ここからは実際に取り組める事例について紹介していきます。
「経験年数が短くて、学校全体に提案するのはまだ・・・。」という先生でも取り組めるように、個人でできるものから学校全体で取り組んでいくものまで、取り組みやすいものや効果の高いものを取り上げています。
ぜひ、どれか1つでもいいので実践してみてください。
なお、学年や学校全体で取り組める事例は多岐にわたるので、本記事では項目だけ提示し、今後、別記事で詳細に記載していきます。
個人で取り組めること
個人で取り組めるものとしては、
・日々のノートチェック
・宿題の採点
・テストの採点
・校務分掌の効率化
が代表的な改善事項として挙げられるでしょう。
個人の場合、どちらかというと業務削減よりも効率化に主眼が置かれます。
(個人の独断で削減すると、後々問題になることもありますからね・・・)
何となくやっていたことも、時間や効率を意識するだけで大きな成果に繋がります!
ノートチェックは授業中に!
まず、ノートチェックですが、これは授業中に終わらせてしまいましょう
。今まで授業後に一斉に集めていた場合は、書き終わった子から持ってくるようにすればOKです。
その場でチェックして、赤ペンなりスタンプなりでサインをして返してあげましょう。
ノートにコメントを書いている方も多いと思いますが、その内容も、その場で伝えるようにします。
子どもはその場でフィードバックをもらった方がよく覚えているものです。
慣れてくれば一人10~20秒もあれば終わらせることができます。
今まで一冊ずつコメントを書いていたことを考えると、半分~3分の1程度に時間を短縮することができるでしょう。
授業中に終わらない場合は・・・
とはいえ、人数が多かったり授業のボリュームが大きくなってしまったりして、授業中に見切れない場合もあるかと思います。
私は、見切れなかったノートが1桁程度なら、ササっと集めて休み時間の間にチェックして返します。
そうでない場合は、状況に応じて2つの方法を使っています。
タブレットで提出
一つ目は、タブレットで写真に撮って提出してもらう方法です。
この方法を使うと、自分の手元にノートの写真が残るので、いつでもチェックをすることができます。
どうしても授業内でチェックする時間を確保できない時は、この方法で集めるようにしています。
授業の途中でチェックする
そもそも、ノートチェックは授業の最後にしなければいけないわけではありません。
授業の内容や進度に合わせて、授業の途中にチェックしてしまうことも多いです。
何のためにチェックするのか?どこを(何を)チェックするのか?
ということを自分の中で明確にしていれば、授業の途中でもチェックをすることは可能です。
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毎時間のノートチェックをやめる
最後はおまけですが、本当に毎時間ノートを集める必要があるのか?というところも考えてみるとよいと思います。
ノートの書き方を徹底している1学期は毎日チェックしていたけれど、定着した2学期は自分の考えを書いている時だけチェックするなど、実態に合わせて柔軟に対応することが必要ではないでしょうか?
チェックするものだからやる、と思考停止していては、働き方改革は進みません。
何のためにやるのか?どのようにやるとよいのか?
目的と手段を考え、常に改善していけるように考えていくことが大切です。
宿題の丸付けは自分で!
ドリルや漢字などの反復系の宿題を出している場合、丸付けは子どもが自分でできるようにしておきましょう。
低学年でも、授業の時間を使って丸付けの仕方について学習すれば、自分でできるようになります。
自分が楽をするためではなく、自分で自分の間違いに気付き、改善していくことの大切さを学年に合わせて伝えていくとよいでしょう。
また、宿題の内容についても、全員が同じ内容で繰り返し行う宿題はそろそろ見直していきたいところですね。
(ただ、これは学年や学校で合わせないといけないところも多いと思うので実態に応じてですが・・・)
宿題については、以下の本をヒントにすることをおすすめします。
「けテぶれ」は最近全校で取り組む学校も増えてきていますね。
宿題の内容についても、今後記事で取り上げていきます。
テストの採点はテスト中に!
テストの採点は持ち帰って家で・・・という人も多いのではないでしょうか。
テストはズバリ、その時間に採点して返却までするのがベストです!
そもそもテストはやっておしまいではなく、やった後が大切です。
どこを間違えたのか、どうして間違えたのかを分析し、学び直すところまでがテストです。
(先ほど紹介したけテぶれには、そのあたりも詳しく解説されています)
であれば、テストは早く返せば返すほど効果的ですね。
個人的には、土日を挟んでしまうと遅いと感じます。どんなに遅くとも、2日以内には返却したいところです。
実際に、テスト時間中に採点して返却までする方法については、さる先生の「丸つけ界王拳」で詳しく紹介されています。
私のクラスは40人近い人数がいますが、この方法を実践したことで、テストの1時間の中で採点~記録まで終わらせて返却することができています!
ぜひ、取り組んでみてください!
校務分掌の効率化
最後に、校務分掌の効率化です。
他のブログやウェブサイト、ツイッターなどでも、いろいろなタスク管理やスケジュール法が紹介されていますが、私はタスク管理やスケジュール管理がものすごく苦手です。
タスク管理やスケジュール管理で効率的にお仕事を進めたい方は、ぜひそちらのウェブサイトをご覧になることをおすすめします。
「タスクシュート」とか、「To Do 効率化」とか「仕事 スケジュール管理」とか調べると有益な情報が得られると思います。
私は全部続かなかったので、究極にシンプルな方法で日々の仕事をこなしています。
①自分の仕事を書き出す。(朝か退勤前)
②必要な時間の見積もりを書く。
③優先順位をつける。
④隙間時間にどんどん処理する。
⑤終わらなかったものは翌日へ。
⑥急に入ってきた仕事は「5分だけ」やる。
⑦終わらなかったら翌日リストの仲間入り
以下、①~⑦のループ
です。詳しい方法は別記事でまとめますが、これだけで十分です。というか私にはこれが精一杯です。
基本的には、先の仕事であっても学期内の仕事であれば前倒しでどんどん進めてしまいます。
リストに何もない状態を目指すのが理想です。何もなくても、急に仕事が入ってくるのが学校現場ですからね。
あと、実はすごく大事なのは、「5分だけ」やるということです。
5分やると、その仕事自体が終わるか、終わらない場合はどれくらいの時間がかかりそうかが明確になります。
5分やれば終わる仕事も多いです。
後回しにすると、仕事の内容や場所を思い出すところから始まり、5分で終わったものが10分とか15分とかかかってしまいます。
なので、まずは5分取り組むことをおすすめします。
学年で取り組めること
学年や学校で取り組めることは非常に多いです。
若手の先生であっても、根拠を明確にして学年主任の先生や分掌のトップの先生に相談すれば、受け入れてもらえることも多いでしょう。
ぜひ、取り組めそうなものからどんどん取り組んでいってみてください!
※現在、箇条書きで記載していますが、随時、詳細記事をアップしていきます。
・教材の共有、学年内教科担任制
・教室掲示の簡略化
・校外学習のしおりの廃止
などなど・・・
学校で取り組めること
学校全体で取り組むことは、承認を得るまで時間や手数がかかるものもありますが、非常に効果が大きいです。ぜひ、複数の先生を味方に付けて、働き方改革を推進していってください!
※学年で取り組めること同様、現在は箇条書きで記載していますが、随時、詳細記事をアップしていきます。
・週案の電子化
・通知表の改善
・クラブ希望調査
・欠席連絡、健康観察のデジタル化
・学校の留守番サービスの実施
・職員間の連絡方法の改善
などなど・・・
まとめ
働き方改革は今の学校現場を改善するための急務であると感じています。
そのためには、私たちが今できることから取り組み始めることが大切ではないでしょうか?
働き方改革は手段であり目的ではありません。
働き方改革を行うことで、
・職場のレベルアップ
・自己のレベルアップ
・教師の魅力アップ
に繋がっていきます。
そのことを忘れずに、まずできることから取り組んでいきたいですね。
そもそも、教員の勤務実態と現状は?
熱く語りすぎてこの記事では紹介しきれませんでした。
以下の記事をご覧ください。
(関連記事)月平均○時間! 教師の長時間労働の実態と 教師不足 の問題を読み解く
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