コミュニケーションが苦手な子には〇〇を考えさせよう!
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こんにちは。
いつもご覧いただきありがとうございます。
本日は、コミュニケーションについて。
他人との距離感が分からない、コミュニケーションを図るのが苦手、というお子さんは結構多いと思います。
特に、自閉症スペクトラム、ADHDなどの発達障害をもつお子さんの場合、その特徴が顕著に表れる場合もあります。
私自身、発達障害の子と関わっていて、自分の話はたくさんするのに相手の話は全く聞かなかったり、いわゆる空気が読めない行動をとったりする姿などをよく見かけます。
今日は、そんなお子さんのコミュニケーション能力を高める方法についてご紹介していきます。
目次
コミュニケーションは「損得」で考えさせる!!
ズバリ、結論から言うと、コミュニケーションは「損得」で考えさせるべきなのです。
相手の働きかけに対して、自分がどういう行動をとると「得」になり、どういう行動をとると「損」になるかを意識させるのです。
損得で考えようというと、
「コミュニケーションは思いやりだ」
「心と心のつながりだから」
と言って、損得で考えることを批判する人によく出会います。
確かにそういう一面もあるのかもしれませんが、発達障害をもつお子さんはその思いやりや心のつながりといった抽象的なものを捉えることが苦手だから困っているのです。
思いやり、心のつながりというものを教えて身に付けられるならば、はっきり言ってそれほどコミュニケーションには困りません。
教えても難しい、理解しにくい部分だからこそ、まずは「損得」で考え、実践していくうちに思いやりや心のつながりに気付く芽が出てくるのです。
具体例:あいさつについて
コミュニケーションの基本として挙げられることの多いあいさつ。
「あいさつをすると気持ちがいいからあいさつをしようね。」
と言われることが多いですが、これではコミュニケーションの苦手な子には伝わりません。
コミュニケーションが苦手な子は、「あいさつをすると気持ちいい」ということが分からないからです。
これは別にその子が悪いわけでも親のしつけが悪いわけでもなんでもありません。
個性として認めるべきことなのです。
例えば、あなたがスポーツを嫌いだとして、ある人に「野球やるとめっちゃ気持ちいいよ!心が燃えるよ!!さぁやろう!!」と言われたらどうでしょうか?
野球が嫌いな人にとって、野球で心が燃えるというのは全く意味が分からないと思います。
感覚としてはそれに近いものだと思ってください。
あいさつをする・しないことによる損得は?
では、あいさつをすることとしないことによってどんな損得かあるのか考えてみましょう。
あいさつをする場合
まずはあいさつをする場合に得られるメリット(得)について。
あいさつをすると、相手から悪い印象をもたれる、ということは少ないでしょう。
どちらかといえば、「あいさつのできるしっかりした子」「元気のいい子」などと好印象をもってもらえることが多いと思います。
そうすると、何か小さなトラブルが起きた時に助けてもらえたり、日常的に良いかかわりをしてくれる可能性(得)があります。
あいさつを通して人とつながりをもっておくことは、いざという時に助けてもらえる可能性を高めてくれる得があるのです。
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あいさつをしない場合
続いてあいさつをしない場合のデメリット(損)について。
あいさつをしないと「無愛想」と思われてしまいやすいです。
また、あいさつを通してコミュニケーションを図る、ということがないので何となくの顔見知りになる機会もなく、困っていてもよく知らないからと、助けてもらえなくなってしまうこともあります。
いつもうつむき気味で目を合わせることもなくあいさつしない場合は、「元気のない子」「人づきあいが苦手なのかな」という印象をもたれますし、元気いっぱいで目も合うのにあいさつをせず素通りする場合は、「失礼な子」「常識がない子」なんてことも言われかねません。
このように、あいさつ一つをとってもする・しないによる損得は大きいものがあります。
損得を考えて得の方が大きければやってみる!
先ほどのあいさつの例では、「あいさつをした方が自分にとって得になるであろう」ということが分かりました。
損得を考えて得が大きかった場合には、ぜひそのことに取り組んでみましょう。
お子さんに伝える時にも、上記でやったように損得を比べさせると理解しやすくなると思います。
そして、「あいさつをした方が得だからあいさつはしよう」と行動を決めていけばよいのです。
ちなみに、このときに「どんなあいさつだとよいのか」というポイントも考えておくことをおすすめします。
無愛想なあいさつ、声の小さいあいさつ、目を見ていないあいさつなどはそれほど大きな得にはつながりにくいです。
「より気持ちのよいあいさつ」ではなく、「よりお得感のあるあいさつ」を意識させることで、ポイントを引き出して考えられるようにしましょう。
ポイントまで押さえられた後は、必要に応じて一緒に練習して外でもできるようにしてあげましょう。
また、同じ人に短時間で何回もあいさつをしてしまった、という失敗談もよくあります。
上級編にはなりますが、同じ人には「朝1回、午後1回」というように決めてあげると迷うことがなくなって社会的な行動ができるようになるでしょう。
子供自身が損得で考えられるようにする
あいさつの例のように、最初は保護者または先生などと一緒に損得を考えて行動を決めていけるようにしますが、慣れてきたら自分で損得を考えて選択できるようにしていきましょう。
何か悩んでいるテーマがあったらそのことについて、「いつもやっている損得で考えることを自分でやってごらん」と促してみましょう。
このとき、近くにいる大人は優しく見守っていてください。
もちろん、何か聞かれた時には答えてもいいですが、方向性を決めてしまような質問が来た時には、「あなたはどう思うの?」と返してお子さんの考えを引き出すようにしてあげてください。
そういった作業を繰り返していくうちに、自然と自分自身で損得を考えて行動を決められるようになります。
この損得を考えて行動することのメリットは、「何となく行動する」ということがなくなることです。
子供というのは根拠のない行動(何も考えてなかった、気付いたらやってた)ということが往々にして多いのですが、この損得行動を身に付けると、自分で判断してから行動することになるので、結果はどうあれ判断した理由がある、ということになります。
すると、親としても先生としても、その判断が正しかったのかどうか、間違っていた場合にはどこの考えが違っていたのかフィードバックすることができるので、頭ごなしに怒って両者が嫌な思いをする、という事態に陥ることがなくなるのです。
これは非常に大きなメリットで、多くの親御さん、先生方から喜びの声をいただいています。
ぜひ、損得を考えて行動する力が身に付くよう、一緒に取り組んでいってください。
損得で行動して成功体験を積み重ねると、気持ちよさに気付く
最後に、損得で行動してはロボットみたいではないか、という声に対する私の経験と考えです。
最初は損得で行動するので、心がない、無機質であるという批判をいただくことがあります。
確かにそうかもしれませんが、発達に偏りがある子、またはそうでなくても心の機微が理解しにくいお子さんには、いきない感情や心に訴えても理解できません。
極端な話、小難しいことを英語で言われているような気分になってしまうのです。
そうではなく、まずは本人たちにとって理解しやすく取り組みやすい「損得」で考えさせることで適切な社会的行動をとれるようにしてあげます。
そうすると、本当に「お得になる」ことがたくさん出てくるのです。
コミュニケーションが苦手な子、というのは今までたくさん辛い思いをしてきた子が多いですから、この違いには気付きやすいです。
「あいさつをしたら友達が遊びに誘ってくれるようになった!」「先生から元気がいいねとほめられた!」「近所の人が助けてくれた!」などたくさんの「得」を受け取ることができます。
そして、それはそのまま快・不快の「快」に当たり、気持ちがよいにつながってくるのです。
すると、「あいさつをすると得になる=あいさつは気持ちがいい」という理解になり、いつの間にか、「あいさつをすると気持ちがいい」という心の部分まで体験的に理解できるようになっているのです。
初めは抵抗がある方も多いかもしれません。
なので、無理にこの方法を実践しろとはいいません。
ただ、この方法で救われるお子さんが多いのも事実です。
中学生になった子に、「損得で考えるようになってからトラブルがぐんと減った」という報告をもらったこともあります。
今、目の前にコミュニケーションで困っているお子さんがいるなら、試してみる価値はあると思います。
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