「そらをとびたかったペンギン」で発達障害に理解を。
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いつもご覧いただきありがとうございます。
最近は急に冬の寒さがやってきて、朝は布団から出るのが億劫になってきましたね。
さて、今日は絵本の紹介です。
2017年1月に出版された『そらをとびたかったペンギン』という絵本です。
もしかしたら、読者の中にはすでにお読みになった方もいるかもしれませんね。
この絵本は、発達障害をテーマに描かれた絵本です。
発達障害の子を育てるお母さん、お父さんはもちろん、学校等の教育関係者、そして、発達障害を抱える子供自身にも読んでほしい絵本です。
とてもあたたかいタッチで、分かりやすく発達障害のことが描かれています。
目次
主人公はペンギンのモモ
絵本の主人公はペンギンのモモ。
森が大好きで、いつも鳥たちと一緒に遊んでいました。
しかし、モモは鳥たちのペースに合わせていると、疲れてきてしまいます。
モモは鳥のように飛んだりおしゃべりしたりすることができないのです。
そんなモモが、森を離れ、湖で泳いでみると、自分の思った通りに体を動かせることに気付きます。
そこから、自分の良さを見つけ、自信をもって生きていくことができるようになっていくストーリーです。
前半のみんなと一緒にいると疲れてしまう、ペースを合わせるのが難しい、というのはまさに発達障害のお子さんの姿を表しています。
彼らはわざとペースを乱そうとしているのではなく、ペースを合わせるのに大変な労力が必要で、だんだんとずれてきてしまうだけなのです。
後半は自分のよさ、居場所を見つけ、楽しく暮らすことができるようになった姿が描かれています。
発達障害の子供たちが、自分なりの生き方を見つけられた状態といえるでしょう。
後半のモモのような姿になっていくことが、今の世の中でのベターなのだと感じます。
「自分らしさ」を見つけてあげる手助けを
この絵本では、森でうまくいかなかったモモが森を離れた後、たまたま見つけたのが湖でした。
そこで、自分のもっている力と環境がぴったりと合い、力を発揮できたのです。
絵本の主人公であるペンギンのモモは、とても運が良かったといえるでしょう。
人生、たまたま出会った環境がピッタリ自分に合う、ということはそう多くあるものではありません。
自分で居場所を見つけて飛び込んでいき、自分の良さを見つけられる方がベストなのかもしれませんが、それは発達障害をもたない子供であっても難しいことです。
そのため、私たち周りの大人が、目の前の子供たちに対して環境作りをしてあげる必要があります。
ペンギンのモモでいう湖を用意し、そこでいつでも泳いでいいよ、という受け皿を作ってあげるのです。
「短所を鍛える」のではなく、「長所を見つけて伸ばす」という発想で接することが大切なのです。
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「あとがき」に込められた作者の愛
解説とあとがきには、作者の申ももこさんのメッセージが綴られています。
このメッセージがとても愛に溢れていて、素敵だと感じました。
申ももこさん自身、自閉症スペクトラムと診断を受けていて、また、息子さんも同様の診断を受けています。
シングルマザーとして息子さんと向き合ってきた苦悩と喜びが綴られていて、読者を勇気づけてくれます。
子育てに向き合うお母さん、お父さんにとって、この巻末のメッセージだけでも、大きな力をもらえるのではないかと思います。
解説も、発達障害について分かりやすく端的にまとめられていますので、発達障害という言葉に出会ったばかりの方が、まず最初に読む本としてもおすすめできます。
また、絵のタッチがとても柔らかく、愛らしく描かれています。
優しいけれど苦しんでいるペンギンの姿、森のあたたかさ、湖の自由さなど、心が丸くなるような描写で子供でも親しみやすい絵本になっています。
一人で読み、子供と読む
この絵本をどう扱うか。
まず、大人が一人で読んでみてください。
そして、まっすぐな気持ちで向き合ってください。
全てに共感する必要はないと思います。納得いかないところがあってもよいと思います。
この絵本から一つでも価値が見いだせたのなら、それだけで大きな収穫です。
次はお子さんと一緒に読んでみましょう。
その時のポイントは、大人の価値観を押し付けないこと。
子供が感じる素直な気持ちを大切にしましょう。
読み終わった後に、「どう思った?」と率直に聞いてみましょう。
そして、お子さんがどんな意見を言ったとしても、肯定したり否定したりせず、「あなたはそう思ったんだね。」とありのまま受け入れてあげるようにしましょう。
発達障害の理解の入口になる絵本
発達障害は学べば学ぶほど深く、複雑です。
「いろいろ考えすぎて訳が分からなくなってきました・・・。」と相談に来る方も多いです。
そんな時、一度、原点に立ち返ってこの絵本を読んでみることをおすすめしています。
お子さんに対する愛情や、本当に大切なことを思い出せた、という声を多く聞いています。
また、お子さんが心配だと学校の先生に言われて療育センターに連れて行ったら、発達障害と言われ、どうしたらいいか分からず目の前が真っ暗になってしまった保護者の方にもおすすめです。
発達障害だから終わりなのではなく、ここからがスタートです。
人は一人一人違うからこそ、それぞれの良さを発揮できるのです。
この絵本を通して、発達障害と付き合う心の準備をしてもらえると良いと思います。
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