子供の自立に必要な”熟達”って知ってますか?
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あなたは「熟達」という言葉を知っていますか?
「○○に熟達した人」などという文脈でよく使われる言葉で、“熟練し上達すること”という意味があります。
この「熟達」という視点をもつことが子供の自立に対してとても大切なのです。
目次
日常生活の動作を”熟達”させる
お子さんが自立して一人で生きていくためにはどのようなことが必要なのでしょうか。
経済的自立、精神的自立、社会的自立・・・。
言葉で表すといろいろと表現できますが、簡単に言えば、何よりも「日常生活の動作を自分一人でできること」が必須ですよね。
お子さんの小さかった頃を思い出してみてください。
なかなか洋服のボタンを留めることができませんでしたよね?
今では何も意識せずとも留めることができていることでしょう。
程度の差こそ違えど、目指すべきはボタンの例と同じです。
日常の生活動作を無意識に行えるようにする、ということが生活の”熟達”です。
大人も”熟達”している
この話は子供に限った話ではありません。
大人だって同じように毎日の積み重ねを行うことで熟達し、生活動作を身に付けているのです。
車の運転などはまさにこの熟達に当てはまる動作といえます。
最初はたどたどしい運転であっても、毎日繰り返し取り組むことで何か別のことをしながらであっても普通に運転することができるようになります。(安全上はよくありませんが)
また、料理も同じですね。
専業主婦になりたての頃は手際が悪かった料理も、毎日積み重ねることで素早く同時に何品も作れるようになりますね。
まさに熟達がなせる技であるといえます。
子供の熟達に必要なものは「毎日”楽しく”継続」
子供の生活動作を熟達させるためには、大人同様、毎日の継続が必要です。
例えば「靴紐を結ぶ」という動作を身に付けさせたい場合、週に1回ではなかなか身に付きませんよね。
毎日靴紐を結ぶ動作を行う必要があります。
その時、”楽しさ”をプラスしてあげるとぐっと定着度が高まるのです。
靴紐を結ぶのであれば、紐の色をお気に入りのものに変えてみる、靴をぴかぴかのものに変えてみるなどの工夫を加えることで楽しく取り組めるようになります。
ただ無機質に動作を繰り返させるだけでは味気のない”訓練”になってしまいますが、楽しさをトッピングすることで”遊び”に近いものになり、遊びを通して熟達していくことができます。
「子供が最も学びを得て成長するのは遊びから」と言われるくらいですから、いかにして遊びの要素を加えていくか、ということは大切なポイントであるといえます。
生活動作の獲得については下記の本が参考になりますので、書かれていることを参考にしながら”楽しさ”をトッピングする工夫を試してみてください。
”熟達”は学習でも生かせる
熟達はもちろん学習場面でも生かされています。
というよりも、学習はほとんどが熟達で成り立っています。
ひらがなや漢字は毎日使わないと覚えられないですよね。
また、算数の計算も毎日繰り返すことでスピードが速くなっていきます。
これらも熟達の一つといえるのです。
昨今、思考力や判断力、表現力といったクリエイティブな力が必要とされていますが、このクリエイティブな力を発揮できるのは上記の基礎となる土台の熟達があってこそです。
土台がない状態でクリエイティブさだけ追求してしまうと、どこかで歪が生まれてしまうのです。
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幼少期に天才少年・少女として注目された子供たちが、大人になっていまいちパッとした活躍をしていないことが多いことの一因であると言えるでしょう。
改めて問われる「積み重ね」の大切さ
学力観や技術革新によって子供たちがこの先求められる力が大きく変わりつつあります。
だからこそ、改めて基礎的・基本的なことを積み重ね、熟達することの大切さを感じています。
批判的・創造的な思考や表現というのは、土台部分の熟達があってこそだといえるのではないでしょうか?
「楽しみながら熟達すること」を意識して、お子さんと日々の生活を過ごしてみてください。
今よりも見える世界が変わってくるかもしれませんよ。
(あとがき)
社会生活でも、生活動作を”熟達”できずに大人になった方々をたまに見かけることがあります。
食事のマナーなどはその最たる例ですね。
熟達した所作の人とそうでない人では他者に与える印象がまるで違います。
ここまでくると、正直言って「知らなくても生きていける」と楽観視できないのでは?と思ってしまいます。
マナーは「知っていて得をすることはないかもしれないけれど、知らないと損をする」という感覚でお子さんに教えてあげて、自然と熟達するように導いてあげる必要があるかもしれませんね。
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