指導技術

着席姿勢を身に付けるための3つのステップとは?

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前回の記事で、勉強に集中できないのは「正しく着席できていないから」ということに言及しました。

参考:勉強に集中できない理由は〇〇ができていないから!

 

本記事では、具体的にどのような段階を経て正しい着席姿勢を身に付けていくのかを説明していきます。

 

着席姿勢を身に付けるためのトレーニングは3つの段階に分かれていますが、どれも家庭で今日からできるものですので、お子さんと一緒に取り組んでみてください。

 

ポイントは「まっすぐ」「リラックス」ですよ。

 

目次

STEP① リラックスして寝る

正しく座るための第一歩は、リラックスして寝るというトレーニングです。

 

「え、座るためのトレーニングなのに寝るの?」

そう思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

ここでは、どれだけ力を抜くことができるか、ということがポイントになります。

そのため、ただ寝るのではなく、「リラックスして」寝ると書いているのです。

 

試しにお子さんと30秒間チャレンジしてみてください。

「今から30数えるから、上を向いて静かに寝ててね。」

と声をかけてスタートします。

 

いろいろ突っ込んでくるかもしれませんが、とにかく寝るように促してください。

そして、30秒数えてみるのです。

 

やってみると分かりますが、30秒じっと寝ていられる子というのはそれほど多くありません。

 

上手に寝られない子は以下のような行動をとることが多いのです。

 

・寝ることに抵抗を示しすぐに起き上がる、動く

・寝てはいるが、手足が動いたり背中が動いたりする

・しゃべったり笑ったりする

・じっとしていても体に緊張(力み)が見られる

 

これらは全て「リラックス」が上手にできていないためにおこるものです。

力を抜く、という感覚や経験が不足しているために、常に体が緊張してしまっているのです。

 

じっとしようと意識しすぎるあまり、体を硬直させてしまっては意味がありません。

 

ドラゴンボールの筋斗雲に乗っている気持ちになってごらん、などの言葉をかけながら、全身がふにゃふにゃに柔らかくなっている状態を目指します。

 

最初は難しいと思いますが、くりかえし取り組んでいくうちにスムーズにできるようになってきます。

手足を触ってみて、力が入っていないか、ふにゃふにゃになっているかを確かめながら取り組んでみてください。

 

スムーズにできるようになったら、1分間を目標に少しずつ時間を伸ばしていきます。

5秒でも10秒でもいいので、お子さんの様子に合わせて徐々に時間を伸ばしていきましょう。

 

このトレーニングは特にADHD傾向の強いお子さんに効果的です。

自分自身で落ち着く状態を作ることで、多動性や衝動性をコントロールする経験ができます。

 

私がADHD傾向のあるお子さんと勉強する時には必ず最初にこの活動を行ってから学習をスタートしますが、取り組み方が大きく変わるので、ぜひ取り組んでみてください。

 

STEP② 寝姿勢から着席へ

1分間、力を入れずにリラックスして寝られるようになったら次のステップへと進みます。

 

ステップ②では、寝ている状態から着席へと移っていきます。

このとき、プラスワンで1つ指示を与えてそれを遂行できるかどうかをチェックします。

 

例えば、以下のように行います。

 

「まずは1分間寝ます。静かに寝てください。」

(1分後)

「1分経ちました。静かにいすに座って筆箱を出してください。」

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ここで、自然な流れで静かに着席できるか、筆箱を用意できるか、というところを見ます。

これができていたら、学習へ意識が向いている証拠です。

 

もしできなかった場合には、できたところまでをほめて、もう一度チャレンジしてみましょう。

途中でふざけたり余計なおしゃべりをしたりした場合も再チャレンジの対象です。

 

「いすに座るところまでは完璧だったけどおしいね。もう一度やってみよう。」

と言って再度チャレンジさせます。

 

大人から見たら簡単に見えても、正しく座る経験の乏しい子供にとっては大変な作業です。

子供の辛さを感じながらも、引きずられることなくメリハリをつけて見てあげてください。

 

間違っても、「どうしてこんなこともできないの?」は言ってはいけません。

できたところまでをほめながら、繰り返し挑戦してみましょう。

 

どうしてもできない場合は、ステップ①に戻って、もう一度リラックスから確認しても構いません。

 

慌てず、焦らず、一進一退で進んでいくんだくらいの心構えと余裕が大切です。

 


 

STEP③ 正座から着席へ

ステップ②もスムーズにできるようになったら、いよいよ最後のステップです。

 

今までは寝た姿勢で行っていたことを正座で行います。

時間は30秒でいいので、その間目を閉じて、静かにリラックスして座るように指示をします。

 

このステップでは、大人が子供の姿勢を整える作業が入ってきます。

子供が目を閉じたら、大人は子供の顔に手を添えて(あごのあたり)、頭を軽く上に引き上げます。

 

このときのポイントは、頭と首と背骨がまっすぐになるように引き上げることです。

無理に引っ張ると痛いですから、数センチ動かすだけで構いません。

まっすぐ整ったらOKです。

 

その状態がリラックスした状態になるので、子供たちに体で覚えさせます。

 

30秒、その姿勢をリラックスした状態でキープできるようになったら、いすに座らせます。

 

今度は、自分で頭と首と背骨をまっすぐに整えるように促します。

上手に整うと、今までよりも頭が軽く感じることに気付くはずです。

 

その姿勢になったらOKとします。

必要に応じて写真に撮って比べてあげてもいいでしょう。

 

このときの姿勢が、勉強に取り組むときの基本的な姿勢となるのです。

 

1日1回でもOK!継続が大切!

このトレーニングはとにかく毎日やることが大切です。

 

脳というのは、毎日繰り返し行われる行動を記憶します。

それは姿勢であっても同じことです。

 

つまり、今までの誤った着席姿勢を脳はしっかりと記憶しています。

なので、1日だけみっちり3時間取り組んだとしても、今まで記憶していた姿勢を思い出し、次の日にはすぐに元通りになってしまうのです。

 

それを防ぐためには、1日1回、5分~10分程度でもいいので、毎日取り組んで、脳の記憶を書き換えてあげることが必要です。

 

「本当はこっちが正しい姿勢なんだよ」ということを毎日脳にインプットしていくことで、脳の記憶がだんだんと正しい姿勢の方へ変わっていきます。

 

そうすることで、勉強に集中できる、正しい姿勢が身に付いていくのです。

 

脳は毎日経験することをより大切なことだと感じ、強く記憶しようとします。

 

「継続は力なり」とはよくいったものですが、まさに真理をついていると言えますね。

 

ぜひ、毎日取り組んで、お子さんが集中できる姿勢を一緒に作っていってください。

 

ステップ③までできるようになった時、お子さんの今までとは違う姿に驚かれることでしょう。

その時を楽しみに、頑張ってくださいね。
 

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退勤定時マン@とき
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【定時退勤と授業力・教員のQOL向上を実現させるブログ】教師に特化したお金の話や教育に関する情報を発信していきます。定時退勤は目的ではなく手段。豊かな教員ライフの第一歩を踏み出しましょう!ICT活用や働き方改革、学級経営、授業改善から資産運用まで、教師に関わる情報を幅広く取り上げています。

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