「習ってない漢字は使うな」というトンデモ指導の裏には○○があった!
スポンサーリンク
「習ってない漢字は使ってはいけません」
授業を見ていると、時々こんな恐ろしい言葉が聞こえてくることがあります。
子供が自分の名前を一生懸命書いたり、作文に知っている漢字を書こうとしたりしている時に、その気持ちを真っ向からぶち壊してしまう言葉です。
しかもこの言葉、言われたことがあるのはごく一部の人、というわけではなく、小学校あるあるのネタとして盛り上がるくらい多くの人が耳にしたことがある言葉のようです。
一体なぜ、このような百害あって一利なしの言葉が教育現場では普通に使われているのでしょうか?
改めて考え直してみましょう。
目次
言い分1:習ってない漢字を使うのはずるいから
何がずるいのか意味不明です。
他の子より知的好奇心が高く、努力した結果、習ってない漢字を使うことができるようになったのです。
ずるいというよりむしろ努力家であるとほめるべきところでしょう。
習ったことしか使えないなんて状況になったら、これから先の日本の教育、そして社会はお先真っ暗です。
「習ってない漢字を使えないのは当たり前、自分で勉強して習ってない漢字も使える人はえらい」
このくらいの対応は教育に関わる人間として、やって当たり前だと感じます。
言い分2:他の子が読めないから
これは状況によっては一理ある内容ではあります。
確かに、他の児童と書いた文章を読みあう、資料にまとめて掲示するなどの活動の場合、習ってない漢字を使うと読めない子がいるのも事実です。
ただ、だからといって一律習ってない漢字を使うことを禁止にするのは、教育者としてふさわしい行為であるのか見つめなおす必要があります。
別に、習ってない漢字を使おうが、フリガナがしっかりとついていれば誰でも読むことができます。
習ってない漢字をたくさん使う子には、「習ってない漢字にはフリガナを振っておいてね」と一声かければ済む話なのではないでしょうか?
むしろ、フリガナを振って新しい漢字を使ってくれることで、他の子がその漢字を目にしたとき、「へぇ~この漢字はこうやって読むんだ。」「この漢字はこの文章で使うんだ。」など、新しい学びへとつながる架け橋の役割を担ってくれる可能性が生まれ、メリットになると考えられます。
学習は知的好奇心を刺激することが非常に大切です。
書ける子の意欲を削ぐだけでなく、他の子の知的好奇心を刺激する貴重な機会を奪っていることに早く気付きましょう。
知的好奇心の高い子に対する適切な支援を考える
実は、習ってない漢字を禁止する理由を聞くと、ほとんどが上記の2つです。
何とも説得力に欠ける理由であることが分かると思います。
しかし、言い訳をただ批判するのではこの先の教育につながりません。
このような事態に陥ってしまう背景について考えることが大切でしょう。
私の考えと多くの先生に聞いた話をまとめると、「知的好奇心の高い子に対する恐怖」が原因であると推測することができました。
「習っていない漢字を使うな」という指導の裏には、「恐怖」が隠れていたのです。
これは、今回の漢字の例のように、自分で興味をもって発展的に学習を進める子に対して、どう対応していいのか分からず困惑してしまうという状況です。
結果として、みんなの学習進度に合わせられない厄介者として扱い、「出る杭は打たれる」のごとく押し込めることで波風が立たないようにしているのです。
これではせっかく伸びる芽を出している子供の将来を奪ってしまうことになります。
もしも、あなたのお子さんが同じような指導を受けていたら親としてどのような気持ちになるでしょうか?
私なら、間違いなくそうする理由と根拠を説明してもらい、納得できなければ改善を求めると思います。
しかし、知的好奇心の高い子を満足させるにはどうすればいいか、というのは多くの教師がもつ悩みでもあります。
以下に、いくつか具体的な方策を紹介していきます。
自主学習ノートなどを活用する
最近では幅広く知れ渡っている方法ですので、既に実践されている方も多くいるかもしれません。
学習に関すること、あるいは学習とは関係ないけれど興味のあることなどについて、「自主学習」という名目で自由に調べたりまとめたりするノートを作るのです。
スポンサーリンク
それを1週間単位で集めてよかったところをほめてあげるのです。
この方法の良いところは、宿題や成績に直結せず、自主性を重視しているところです。
つまり、「やらなければ・・・」とか「出さないと・・・」といったネガティブな面が存在しないので、児童の発展的学習を認めるのにぴったりであるといえます。
ノートは学級で統一しているところもあれば、完全に形式は自由のところもあります。
私としては、より自主性を尊重したいので、キャラクターものでも罫線がないものでもスケッチブックでも、自由なノートを使ってくれていいと思っています。
ミニティーチャーとして活躍してもらう
知っていることを知的好奇心の高さを生かして、他の子へのアドバイザーとして活躍してもらう方法があります。
教える方は相手に伝わるように噛み砕いて教えてあげなければならないので、教えることによってより理解が深まるというメリットがあります。
教わる方は、子供の言葉で教えてくれるので、教師が教えるよりも伝わりやすくなる可能性があります。
双方にとってメリットとなるこの方法ですが、実際に行う際には態度や人間関係などに配慮する必要があります。
例えば、プライドの高い子供同士で教える・教えられるの関係になると、そこから上下関係が生まれ、トラブルの元になる可能性があります。
また、教える側が偉いという雰囲気にしてしまうと、自然とできるやつはすごい・えらい、できないやつはダメなやつという優劣関係が生まれてしまう可能性もあります。
これらのことを防ぐためには教師が教えてくれる子の自己肯定感を上手にフォローすることと、教えてもらった子の成長を適切に認めてあげることが大切です。
まず、教えてくれる子に対しては、ミニティーチャーとして活躍してくれることで、クラス全体の学習が良い方向に進んでいることに感謝の言葉を伝えましょう。
教えてくれる子が偉そうな態度をとるのは、仕事をしているのにそれを適切に評価してもらっていない場合が多いです。
つまり、教師はミニティーチャーを頼んでそのまま放置しているような状況です。
そうすると、ミニティーチャーの子たちは、できていない子を見下し、優劣を意識することで自己の優越感を満たそうとします。
この誤った自己肯定の仕方がトラブルにつながってしまうのです。
また、教えてもらった子に対しては、具体的に成長したところを認めてあげるようにしましょう。
そうすることで、「自分もできた」という自己肯定感をもつことができます。
このときに、わざわざ「〇〇くんのおかげだな」といった言葉をかける必要はありません。
教わったところができて、それを具体的に認めてもらえれば、自然と「〇〇くんのおかげでできた。」と思うようになります。
変に、「〇〇が教えてくれたからできるようになってよかったな。」なんて声かけをすると、自分は〇〇に教わらなかったらできないダメなやつ、などの偏った考え方をしてしまう可能性があります。
あくまで自然に、ありのままできたところを認めてあげるようにしましょう。
知的好奇心の高い子の可能性に楽しさを感じよう!
「習ってない漢字は使うな」というトンデモ指導を批判するとこから始まった本記事ですが、思わぬところに着地したような気がしています。
ただ、知的好奇心が高い子の存在が「恐怖」という視点はあながち間違っていないのではないかと感じています。
知的好奇心が高い子は、日々の授業に対して満足度が低くなりやすかったり、「それ知ってる」と授業の妨害とも思えるような行動をとったりしてくる可能性があります。
そうすると、教師側は無意識に危険因子と認識し、防御や排除をしようと行動してしまうのです。
その結果が、今回の「習ってない漢字は使うな」に至ったのではないかと推測します。
そうではなく、知的好奇心の高い子をどう動かすか?その子の良さをどう引き出すか?という視点で向き合うようにしてみてください。
すると、今まで敵にしか見えなかった児童が自分の力量を高める原動力へと変わっていきます。
ぜひ、毎日の授業を楽しむためにも、ポジティブな見方で接するようにチャレンジしてみてください。
ご覧いただきありがとうございました! 当ブログでは、ご意見・ご感想を大募集しております。 疑問に思ったことや、ブログで取り上げてほしいことなど、お気軽に以下のメールアドレスまでお問い合わせください! 皆様からのメールをお待ちしております!
スポンサーリンク